前面道路に繋がる旗竿部分から敷地を見たところです。細いアプローチと同幅分建物を北隣地線からセットバックしており、結果すっきりとした佇まいが生まれました。無駄な余白になりがちな建物周囲は空間活用度がアップしそうなウッドデッキが敷かれています。
建物南側は隣地への日照配慮のため2階部分を半階低くしています。そのため吹抜けとしたリビングダイニングキッチンの天井は高く、開放的で風通しの良いワンルームタイプの生活空間となりました。コンクリートのような仕上がりの床タイルと真っ白なインテリアがクールでモダンな雰囲気を出していますね。
唯一景色の抜けている敷地東側にはテラスを設け、空間に奥行きを出しています。プライバシーの配慮から地窓や高窓を上手に取り入れ採光と換気を確保し、開閉自在の開口が空間を緩く仕切ったり繋げたりして変化を持たせた空間構成をとっています。
通常なら閉鎖的になりがちな隣地境界線のブロック塀との隙間をあえて開放し、とことん空間利用を図っています。ウッドデッキを敷き、塀を塗装するだけでだいぶ印象が変わりますね。
差し掛け屋根のずれに設けたハイサイド窓から注ぎ込む光によって採光を確保した北側の居室です。また温度差を利用した吹き抜けのある1階部分の重力換気も期待できる設計となっており、自然を取り込んだ住環境が充実した家と言えるでしょう。
玄関上部を見てましょう。吹き抜けによって立体的な開放性を持たせた小さな空間にも天窓からの採光や小窓を利用した換気を確保しています。心が洗われるような空に抜ける眺めが素敵ですね。
モダンな子ども部屋は梁構造を見せた動きのある空間にしています。高窓からの採光やバルコニーによる開放性を取り入れた快適な居室です。造り付けのすっきりとした収納は散らかりがちな子ども部屋には是非取り入れたいものです。
プライバシーを考え隣家と近接している開口は半透明ガラスとしています。外部の変化を柔らかく室内に伝えると同時に、こちら側の様子をそっと周囲環境へ伝える役割を果たしてします。密集地で閉鎖的になりがちな住宅をお互い干渉せずにいかに協調性を持たせるかは都市部での快適な住まいづくりにおける重要なテーマですね。
単に規制をクリアした物理的なハコを作ったのではなく外部環境を賢く取り入れた心地よい住まいが様々な規制への対処から築かれ、結果として心にゆとりを与えてくれるようなライフスタイルをも叶えてくれる住宅が生まれました。採光や換気、そして空間の広がりといった住むための基本条件が吹き抜けの存在によってもたらされた家です。