真壁と大壁の違いとは何でしょうか?真壁(しんかべ)とは、古くから日本の建築に用いられてきた壁のつくりで、柱や梁などの建物の軸組が表面に見えてくる壁となります。一方、大壁(おおかべ)とは、柱や梁がパネルなどで覆い隠されて表面に見えてこないフラットな壁のことを言います。現在のほとんどの住宅では真壁より大壁が主流となっていますが、2つの壁の違いとはどのようなことが挙げられるのでしょうか?今回は、真壁と大壁を比較しながら、2つの違いやそれぞれのメリットを紹介していきたいと思います。
真壁は塗壁などで施工期間が長くなったり、柱なども見えるため、丁寧に壁を仕上げていく必要があります。一方、大壁は構造部材はパネルなどで隠され、ほとんどが施工の速い乾式工法となるため、比較的簡単な施工の壁となります。そうした施工の容易さは、全体のコストを抑えるための1つの手段となるでしょう。
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※ 壁の写真ページ
柱や梁、そして筋交いなどの構造部材がすべて壁の中に収まるため、大壁を用いることですっきりとしたインテリアにすることができます。また、コードや配管などの設備も壁の中に隠せることから、より自由で使いやすいプランニングが容易になります。こちらの高橋直子建築設計事務所が手掛けた住宅のように、壁だけでなく、天井や窓回りもすっきりとしたデザインにしていくことで、モダンなインテリアやミニマルな住まいがより洗練されていきます。
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大壁は現在のモダン住宅のほとんどに使われ、真壁は日本家屋や和室に使われていることから、大壁であると和室はつくられないと思われる方も少なくないでしょう。しかし、こちらの吉田設計+アトリエアジュールが手掛けた住宅の和室のように、大壁を使ったすっきりとした落ち着きのある和室も可能です。床柱には北山杉が用いられ、和室をまとまりのある空間としているとともに、住まいの中心となるような力強さが感じられます。
【住まいづくりついては、こちらの記事でも紹介しています】
構造部材をパネルなどで覆い、その中に配管なども通すと同時に断熱材も一緒にあることで、壁内部に湿気がこもりやすくなってしまいます。そうした面において、木材の柱や塗壁などでなる真壁は、壁や柱が呼吸することができ、室内の湿度調節の役割も果たしてくれる日本の気候風土に馴染みやすい仕様と言えます。冬場の暖房効率が心配な方は、こちらの安井正/クラフトサイエンスが手掛けた住まいのように、建具で細かく仕切ることで室内を効率的に暖かく保つこともできます。さらに、建具を開けて広々とした空間にも自由に変化させることができる便利な住まいとなります。
真壁は室内に木材の構造部材が見えてくるので、住まいが木の温かみと香りに溢れ、存分にリラックスできる空間となります。さらに、構造部材の木材に合わせて、床材や天井材、さらには家具まで素材として木材を選びやすくなり、木に囲まれたインテリアにしたい方にはおすすめの壁です。インテリアスタイルとしても、純和風なものだけでなく、こちらの住まいのように、住み心地の良さそうな和モダンな雰囲気にもすることができます。
こちらは14枚の畳が敷かれた居間。天井を解体し2階床板を現しにすることや廊下との間仕切を無くすることで、以前の暗い日本家屋の印象を開放的でモダンなワンルーム空間にリフォームした例。鴨居や長押といったもともとあった建具を残し、受け継ぎながら新しい空間を計画しています。
【壁については、こちらの記事でも紹介しています】
長く住み続けると、住宅の色々な箇所に不具合が生じてきますが、もちろん柱などの構造部材もその1つです。大壁の場合、柱がどのような状態なのかは壁を開けてみないと分かりませんが、真壁であれば、いつでもその状態を確認することができます。長く住み続けるためにも、建築家と相談しながら、自分の住み方に合った壁にしていきましょう。
和室壁から洋室壁にリフォームすることは可能です。こちらは、リフォーム時に
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