倉庫がオフィス住居に大変身!コンバージョンで生まれる新たな可能性

K.Matsunaga K.Matsunaga
eclectic by 株式会社 藤本高志建築設計事務所, Eclectic
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コンバージョンという言葉を聞いたことがありますか?類語にはリノベーションという言葉がありますが、こちらは住宅や店舗と既存の用途を変えずにリニューアルすることです。コンバージョンとはそれに加え、元々の用途も変更し建物を再生させる建築のことをいいます。建て替えをせずに躯体のメリットを生かしながら別の用途として建物を生まれ変わらせることができるため、近年じわじわと人気が出ている方法です。今回はもともとが倉庫だった建物を住居兼オフィスとして新生した建物をご紹介します。藤本高志建築設計事務所が自らの住居とオフィスとして手がけた魅力あふれる物件となりました。

Before:鉄骨造4階建ての倉庫

大阪市北区にあるこの建物は、32年間メリヤス加工品の倉庫として使われていました。周囲にオフィスビルや高層マンション、倉庫がある中に静かに佇んでいます。その周辺環境を考慮し、無理に別物とするよりはその自然な姿のまま、中身を変えることが選択されました。築年数も30年を越え、あちこちに気になる痛みがある状態でした。

After:外観は大きく変えず、モダンさを取り入れたエントランス

新たに1階の部分に設けられたエントランスは、コンクリートブロックで仕切りを設け、黒い縁取りのエントランスドアがモダンでインダストリアルな雰囲気を演出しています。外観はもともとの倉庫だった姿を残し、老朽化していた部分の修復をしています。雨漏りをしないように塗装と防水工事を施し、サッシを新しいものへと交換しました。

Before:時代と痛みを感じる内装

もともとの用途であった倉庫の中身は殺風景で、やや冷たい感じのする印象です。倉庫ならではのがらんどうとした空間が広がり、鉄骨造の構造体は時代を感じさせながらもしっかりとしていました。住居とオフィスという人が住まう空間は倉庫にはない設備が必要なため、通常のリノベーション以上に配線や設備機器の配置計画が重要になります。コンバージョンは今までの用途が別物になることで、アイデア次第で面白い空間へと化学反応させることが可能です。

After:現代的で魅力ある空間へ生まれ変わった内部

比較しやすい階段部の写真です。鉄骨階段や構造体のカラーを変え、素材の異なるグレーのグラデーションとすっきりとしたホワイトがインダストリアルで魅力的な内装に生まれ変わりました。メリハリのあるライティングによって、ドラマチックな陰影を作り出し倉庫の面影を残しつつまるでお洒落なショップのようなモダンさを感じる空間となりました。

After:広々としたオフィススペース

鉄骨造ならではの広々とした空間が存分に生きたオフィススペースは、邪魔な間仕切りがなくすっきりと使うことができます。一面に造作本棚を設け、書類や資料を収納しやすく使い勝手の良い空間へが生まれました。床をモルタル仕上げ、天井はもともとの構造をあらわにしたものに塗装を施しています。クールな印象のように見えますが、造作書棚は木材を用い、この色合いが空間に柔らかなスパイスを加えています。

After:大きな窓のある快適なリビング

もともとの構造である鉄骨造が大きな開口を確保できるため、リビングは大きな窓を構えることができ明るい光が差し込みます。オフィスと同じように床をモルタル仕上げとし、インダストリアルな内装の統一感が図られています。無彩色のホワイトやグレーがベースの内装の中に、家具で差し色にした赤や黄色がとても映え、ミッドセンチュリーなインテリアがまるでカフェのような雰囲気となりました。コンバージョンならではの味わいや構造を生かすことができるのも、近年注目されている理由のひとつです。

After:カフェを思わせるキッチン

構造のメリットを生かすことで、自由な空間の割り振りができるのがリノベーションやコンバージョンの魅力です。キッチンの配置も好みに応じて設けることができ、内装の自由度と合わせてどのようにレイアウトをするかも楽しみのひとつとなるでしょう。この物件ではインダストリアルな内装に調和する、モルタルやステンレスの材料でオリジナルのキッチンが造作されました。鉄や木材、家具のFRP素材と、一見異なる素材が空間に混在しているように見えますが、通常の新築空宅ではなかなか実現できない倉庫の面影を利用したインテリアで見事な調和が生まれています。

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