homify 360°: 江戸後期の町家を次世代へ。花しょうぶ通りの家

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花しょうぶ通りの家(江戸後期の町家のリノベーション), タクタク/クニヤス建築設計 タクタク/クニヤス建築設計 日本家屋・アジアの家
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江戸時代後期と言えば今から約250年前のこと。驚くことにその時代に建てられた町家が彦根市中心市街地の花しょうぶ通り商店街では現在も生き続け、人の住まう住宅として機能しています。しかし現代的な生活を送ろうとすれば当然リノベーションは必要となります。歴史的風情を残し、貴重な江戸時代後期の町家を次代に継承できるようなリノベーションが求められる中、手掛けたのは滋賀県に拠点を置くタクタク/クニヤス建築設計です。

風情のある落ち着いた外観

昭和の改修で洋風化していたファサードを杉板仕上げと木製建具によって落ち着いた風情に再生しました。エントランスは和のテイストを感じさせる格子戸で、バリアフリー設計で段差無く玄関からモルタル仕上げの土間へとつながります。左側のガレージスペースも同じ格子戸にすることで風情を壊さず統一感のある外観となっています。

一階は開放的な大空間に

一階はガレージスペースと薪ストーブを中心としたサロンスペースを配置し吹抜けによる開放的な空間となりました。これまで天井が張られて昼間でも電気を付けなければ暗かった空間が、天井を取り去り既存の柱、梁を現しで再生利用することで開放感のある明るい空間に、そして現われた木組みの構造は歴史の重みをも支えてきたかの様な力強い存在感を放っています。この木組みとは逆に鉄骨階段は繊細なデザインのものにしたことで空間に対比的な美しさが生まれ、元々の素材を生かしながらも新しく魅力的な内部へと生まれ変わりました。

人が集まるサロンの顔

大空間を暖めるためにノルウェーの世界的ストーブメーカーであるヨツール製のクラシカルなデザインの薪ストーブを中心に据えています。冬場はこのストーブによって二階の空間まで暖かく快適に過ごすことができ、人の集うサロンの中心的役割も担っています。ガレージスペースとサロンスペースの間仕切り部分は空間を閉じないようガラス製なのでより広々。

再生された和室

こちらの和室は唯一既存の部屋をそのまま利用。しかし傾きが酷く土台などが腐っていた為、下地から全て仕上げ直したそう。この部屋に250年前の江戸時代の暮らしがあったのだと思うと歴史を感じずにはいられませんね。

木組みをインテリアに

二階は急勾配の階段で結ばれ物置と化していましたが、構造材のみのスケルトンにし新たに大空間を持つ生活空間となりました。壁は左官仕上げ、ナチュラルなフローリングを設置することで木組みをインテリアとして引き立たせ、歴史的な重みはそのままにモダンな空間となりました。

フローリングと木組みが生み出す気持ち良い空間

元々の構造から床レベルの変更ができない部分は適度なステップを設けて自然に接続しており、こちらの寝室も二階ホールからは数段の階段で結ばれています。ナチュラルで明るい色味のフローリングが清々しく気持ちの良い空間。奥はウォークインクローゼットで収納も充実しています。

この住宅が持つ価値

江戸時代から続く歴史のある町家の美しさを生かしながら、それを博物館の様に展示するのではなく現代的で快適な生活を営むことが出来る住居。それは次世代へと継承されるべき価値のある住宅と言えるのではないでしょうか。

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