自然と一体になることができるカフェと雑貨の複合店舗

K.Matsunaga K.Matsunaga
『ころもがえする建物』Natural works village, イン-デ-コード design office イン-デ-コード design office Commercial spaces Wood Wood effect
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自然に勝る芸術はない、と言われるほどに、私たちと密接な関係にある壮大な自然はときにドラマティックな表情を見せてくれます。陽の移り変わりや天気で変わる空の表情、季節によってさまざまに変化する山や植物の色、風や水の音、日々刻一刻と新たな発見と気づきを与えてくれる自然は雄大で偉大な教師とも言える存在です。建物の中にいるとなかなか気が付きにくい自然の息吹ですが、観葉植物や空が見える大きな窓が好まれるように、人間は日常自然によってエネルギーや癒やしを得ています。今回ご紹介するのは、周囲を空、山、川と大自然に囲まれた敷地に建つ飲食店と雑貨屋を営む店舗です。インデコード DESIGN OFFICEはこの環境を生かすために、可動間仕切りによっていつも自然を感じることができるユニークな建物を提案しました。

間仕切りのない外観

この建物をはじめに見ると驚かれるかもしれません。直線的なラインが伸びるモダンな長方形の箱に、景色の向こう側を見通すことのできる空間がぽっかりと開いています。無垢材の板貼りを施された屋根部分と、吹付仕上げの白い外壁がこの雄大に広がる自然に溶け込んだような存在感です。この見通しができる空いた空間こそがこの建物の最大の特徴で、この建物は季節や用途に応じて可動間仕切りで好きなレイアウトにチェンジできる仕組みを持っています。

自由な空間を作り出す内部

ひとつの空間は、外壁部分をはじめ、天井の格子状のレールに沿って自由に可動間仕切りを使って区切り、また取り外すことが可能です。この仕組みによって出店する店舗やギャラリーのレイアウトを自由に変更ができたり、季節や目的に応じて撤去・復元が可能となっています。出店する店舗の個性を生かすことができるよう、素材はごくシンプルなありのままを生かしながら全体の器を作り上げています。

可動間仕切りで可能性を生み出す空間

内部を実際に使用すると、このように飲食店と雑貨店舗が融合したとてもユニークな場所を作り上げていることがわかります。天井の格子によって自由に可動間仕切りを利用しながら空間をシェアすることができ、また他にも什器や家具を使ってもスペースを作ることが可能です。通常の居抜き店舗などではあらかじめ一店舗ごとのスペースや場所が定まっている場合が多くありますが、このように大きな空間を自由に設定できることは、アイデアの多様化や創造性をより豊かに広げていくこととなるでしょう。

広がる自然もこの建物の一部

可動間仕切りを取り払うと、眼前には見渡す限りの草原と山、空が広がる景色を臨むことができます。季節によって色づく山や植物たち、風の匂いの変化や流れる雲を眺めながらゆったりと寛ぐことができるなんとも贅沢な空間です。建物の直線的で水平な視覚効果で、より外の景色に奥行きを感じ、まるで吸い込まれていくような不思議な感覚を味わいます。ここで一息つきながら、インスピレーションを得ることやエネルギーを感じることもあるでしょう。出店者と利用者が共に楽しめる場所をつくり上げるワクワク感と、訪れるたびに変化を感じることで利用者を飽きさせることなくクリエイティブな風を送り出す空間をこの地が最大限に引き出しています。

満点の星空が眺められる夜

周囲が自然に囲まれているため、都会のようなひしめき合う建物もこの建物の周りにはありません。そしてその自然は昼間だけではなく、夜間にも、満点の星空を見ることができるドラマティックな一面を感じることが可能です。人工的な光に邪魔されない場所を見つけることは、利便性を求められる現代では難しい条件のひとつともなりました。そのため、夜にじっくりと空を眺める機会が昔と比べるとかなり減っていると言われています。朝と夜が繰り返されることで私たちは日々新しい時間と世の中を作り上げ、自然の力を感じることはより豊かな発見を生み出す役割を果たすこととなるでしょう。

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