豊かな庭の風景を取り込んだユニークな形の住宅を紹介します。設計を手がけたのは東京に拠点を置く前田敦計画工房。列柱と木壁がアクセントになったひと際目立つ外観と変化に富んだダイナミックな内部空間で構成される木造2階建ての住まい、さっそく見てみましょう。
都内の閑静な住宅地に計画された住まいです。37坪ほどの敷地は既存の豊かな緑に囲まれ、比較的開けた立地にあります。道路側のファサードを見てみましょう。一見3階建てのように見えるプロポーションですが、吹抜けを取り入れた垂直方向の広がりが魅力的な2階建ての住宅です。
柔らかな白色の外壁に軸を振った木板の壁が貫通したユニークな外観が、ひと際目立ちます。ボリュームを欠き込んだ玄関ポーチの上に乗った列柱によって高さが強調されるバルコニーは、視線を遮りつつ開放感のある屋外空間を作り出しています。
玄関を入ってみましょう。 緩やかに繋がる1階は多様な軸を持つ壁で、柔らかく仕切られ変化に富んだ空間を生み出しています。コンパクトな玄関ですが、造作の収納やニッチを生かした飾り棚によって機能的で雰囲気のあるエントランスを演出しています。視線は一番奥の開口から庭まで抜けて行き、奥行きを感じさせますよね。
玄関から続くワンルームタイプのLDKです。上部は斜めに横切る壁や味わいのある化粧梁がダイナミックな雰囲気を醸し出しています。経年変化の楽しめそうな質感のウッドフロアがビンテージっぽいテイストでお洒落ですよね。白い壁に囲まれた階段も同材で統一。化粧天井の上部には間接照明を設置し、素材を際立たせると同時にラグジュアリーな雰囲気を作り出しています。
石の仕切り壁がアクセントになったリビングは吹抜けになっており、壁には木板を採用。また2階の居室とはインナー窓によって緩やかに繋がり、家族がそれぞれの気配を感じられる温かみのある生活空間を作り出しています。リビングから続くのはオープンキッチンとダイニングスペースです。
リビングの横には小上がりのある小さな畳コーナーがあります。ちょっと昼昼寝をしたり腰を掛けたりと様々な用途に使えるスペースは、メインの生活空間に広がりをもたらしてくれます。「経年変化が楽しめる「GREEN HOUSE」」でも趣きのある小上がりのスペースを取り入れているので是非ご覧ください。
2階に上がると吹抜けを介して1階と繋がるギャラリースペースがあります。小さなカウンターは、ワークスペースなどに使えそうですよね。軸を振った壁面が作り出す変化に富んだ空間が豊かなシーンを作り出します。既存の樹木を借景として取り入れた周辺環境とのインタラクティブな演出も目を引きます。
開口が切り取る自然の風景を見ていると、都内の密集した住宅地に建っているとは思えないですよね。天然の素材の持つ力強さと温かみによって心地良さを表現し、ダイナミックな形態によって開放感と多様さを生み出すユニークな住まい、家族の成長と共に味わいを増していくのが楽しめそうです。