道路側に境界壁を持たない代わりに住宅そのものを閉じたデザインにすることでプライバシーに配慮しており、なんとなく取っ付きにくい印象を与えますが、実は街並みに対して素敵な演出をする仕掛けをちゃんと設けているんです。右手の突き出したボリュームの前に設えたガラスの手摺越しに植物やクリスマスツリー、彫刻など季節ごとに飾りがディスプレイされて街路からも眺められるといった素敵なアイデアが盛り込まれているんです。真っ白な外観だからこそ映える粋なディスプレイ、住まい手にとってはもちろん通りを歩く人にとっても楽しみですよね。
道路から駐車スペースを見たところです。 一般住宅とは思えないくらいシャープな形態が際立つ 白いボックスを貫通するスペースは玄関ポーチとなっており、そのまま庭へと続きます。左の扉のあるボリュームは収納でしょうか、非常に便利なアイデアですよね。玄関ドアも一体化した米杉の外壁がクールな印象の外壁に暖かみを添えるアクセントとなっています。白い空間に木の素材を組み合わせた住宅として「スタイリッシュなデザインとナチュラルな素材が融合した家」も是非ご覧下さい。
こちらが前述のディスプレイ空間。砂利敷きの外構がそのまま続き連続性を持たせたユニークな空間はもちろん内部からもアクセス可能。こちらは子ども室なので子どもの飾る可愛らしいオブジェも見られそうですね。ミニマルな形態ですが、陰影が美しく映し出される工夫を凝らしたり、質感のあるマテリアルを組み合わせることで奥行きと時の移ろいを感じさせる豊かな住宅になっています。
木の表情が豊かな壁で仕上げた玄関廻り。右端は明かり取り用のスリットですが、一日の終わりには室内からの柔らかな光が駐車スペースを照らし、暖かく出迎えてくれます。インターホンや郵便受けも杉材の壁に埋め込まれており、無駄を削ぎ落としたデザインを追求しています。これだけたっぷりとした駐車場兼玄関ポーチだと、雨日でも全く困りませんね。
ぐるっと回るり庭を見てみましょう。建物南側は長手方向に垂れ壁を設置。これは沖縄の風土に対応した雨端と呼ばれる軒下空間を形成するものです。建物の形態に融合されたモダンな造形で表現された伝統的な建築要素。見た目だけの格好良さだけでなく機能も重視したデザインは是非参考にしたいですよね。米杉の外壁部分には台風に備え、雨戸を収納しています。またテラスに向って大きな開口が設けられ、外に大きく開かれた室内空間が生まれました。
南側のテラスに面した和室エリアをリビングから見たところです。奥の開口に向って視線が抜け、大変奥行きを感じられるパブリックな空間です。琉球畳を床面に埋め込み、フラットに仕上げたモダンな佇まいが真っ白な空間にもぴったり。仏壇も収まっている収納の上部と窓際の天井には照明を設置し、ムードのある空間を演出。ギャラリーとしても活用される真っ白な壁は一体どんなアートで彩られるのでしょう。
子ども室も抽象的でスタイリッシュ。様々なオブジェ – 子どものモノで彩られる空間、このくらいシンプルでもいいのかもしれませんね。洗面脱衣室をコア部分に収め、その奥には家族共有で使えるクロゼットエリアを配置。生活感を感じさせない真っ白な建築ですが、自然や伝統にも寄り添った暖かい家であり、同時に洗練されたライフスタイルにぴったりなお洒落な住まいなんです。
平屋については、こちらの記事でも紹介しています。