地下室をすでに自宅に持っている方の中には、今の地下室をリノベーションしてより快適な場所にしたいという方も多いと思います。地下室は地上の部屋とは違い、太陽の光が届きづらかったり、湿気がこもりやすくなるので、それにより地下室に不具合が生じてくることがあります。そこで今回は、薄暗い地下倉庫のような地下室を快適な場所へとリノベーションする際のポイントを紹介していきます。
地下室には太陽光や風を届けることは無理だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ドライエリアなど利用することで、地下への採光や通風は可能となります。こちらのスタジオ・ベルナが手掛けた住宅では、ドライエリアを中庭として利用することで、その中庭の周囲の部屋に明るさや心地いい風をもたらすだけでなく、ドライエリアを様々な形で使えるようなプランニングとなっています。
ドライエリアにより光を地下室まで届けられますが、ドライエリアを設けることにより居住スペースが減ったり、あるいはドライエリア自体設置するスペースがない敷地もあると思います。そうした時に欠かせないのが、地下室の照明の仕方です。開口がない地下室では、常に照明が必要となりますし、照明次第で部屋の雰囲気が決まることもあるので、是非こちらの地下室のように、照明のシェードや照明の光による壁への影の現れ方などにもこだわってみて下さい。
地下室には、一年を通して気温が安定していて夏でも涼しく過ごせるというメリットがありますが、逆に夏の湿った暖かい空気が地下に入ってくると、結露が発生する可能性があります。ドライエリアなどを取り入れて、空気がうまく循環できるような対策をするといいでしょう。あるいは、こちらの筒井紀博空間工房が手掛けた住宅の地下室のように、調湿効果のあるホタテ貝の貝殻を利用した塗料を使うことも効果的です。
写真:KATSUHISA KIDA/FOTOTECA
屋外にドライエリアを設けるスペースがないという方には、屋内で地下階と地上階を吹き抜けでつなげることによって、地下階に地上階のような明るさをもたらすことができます。こちらの株式会社 アーキショップ 一級建築士事務所が手掛けた住宅では、読書室のある地下1階を吹き抜けで1階と一体にすることで、十分な光を地下に届けるだけでなく、地下躯体に埋め込まれたヒーターが地下と1階はもちろん、2階の床まで暖めることも可能となっています。
地下室には必ず階段が付きます。その階段をしっかりとそれぞれの地下室に合ったものにしましょう。光がもっとほしい場合は、地上階とつながっている階段から光が降り注ぐようなものを選び、地下室スペースをより広く取りたい場合は、らせん階段を使って階段スペースを小さくするといいでしょう。
写真:鳥村鋼一